前述したように、床矯正は子供さんの負担も少なく、保護者の経済的負担も少なくすむ非常に優れた方法です。また多くの場合永久歯をぬかずにすむのも大きなメリットです。

→床矯正のメリットデメリット

しかしどの人にも床矯正が適しているわけではありません。

床矯正が最も効果を発揮するのは、6歳から8歳までの奥歯の咬み合わせに問題がない子供さんです。

少女

治療の開始時期

まず治療開始時期から説明します。

床矯正でない一般矯正は、何歳からでも可能です。当院でも歯周病予防のため、あるいは咬み合わせの改善のため年配の方に矯正をすることがよくあります。

しかし永久歯にブラケット(歯に接着する矯正装置)をつけて、それにワイヤーを通して治療するわけですから、永久歯がほぼ生えそろってないとできません。

一般の矯正医に行くと「10歳半~11歳まで待ちましょう」と言われるのはそのためです。

しかし床矯正のコンセプトは「顎が小さくて歯が入りきらないから乱杭歯や八重歯になる。だから永久歯が生える前に顎を大きくしましょう。」ということです。よって永久歯がまだあまり生えてない時期に開始するのがベストです。永久歯がいがんだまま生えそろった後に床矯正をしても、ガタガタの歯が並んだ顎が広がるだけです。(→床矯正 質問)

咬み合わせについて

次に奥歯の咬み合わせについて説明します。

床矯正が得意なのは、左右に顎を広げることです。なので奥歯が前後的にずれている場合は、床矯正だけで治すことは難しいです。

当院でも「出っ歯を治してほしい」と来院される方が多くいらっしゃいます。出っ歯の原因はは、ほとんどの場合上の奥歯が前にある、あるいは下の奥歯が後ろにあるから、そのしわ寄せで上の前歯が下の前歯より出てしまうのです。よって「前歯だけ治して見栄えを良くしてほしい」というのは不可能であることが理解していただけると思います。

逆に前歯が生える前でも、奥歯の咬み合わせを見れば前歯が出っ歯になるかどうかは予測できます。

いずれにせよ奥歯の咬み合わせが悪い場合は、床矯正だけでは治療は難しく、床矯正をしてからワイヤーを入れることが多いです。その場合は、上の第一小臼歯2本を抜歯するか、矯正用のインプラントを使用するかの選択になります。

詳細は矯正用の検査をした後に、お一人お一人に最も適した治療法をお話しします。