インプラント治療は多くのメリットがありますが、もちろんデメリットもあります。ここではデメリットについて考えてみたいと思います。

インプラントのイメージ

費用が高い

インプラント治療は保険適用外ですから、高額な治療となります。
インプラントはそのほとんどが輸入品ですから、ユーロ建とかドル建での費用は全世界で同じようなものだと思われます。

一日の生活費が日本の何分の一の国でも、同じ費用でインプラント治療をすることを考えると、日本では相対的にはインプラント費用は安いともいえます。
とはいえ、絶対額はやはり高いです。ですから歯を失った方が皆インプラントをした方が良いとは思いません。
その費用に見合うだけの価値があると思われる方が、選択されれば良い治療法だと思います。
一方、従来の治療法では不可能であったことができるようになった、夢の治療法であることも真実です。
1本歯を失って、両隣の歯を削って銀歯のブリッジを保険で入れようと思われている方に、インプラントを勧めようとは思いません。

値段が何十倍も違うからです。
でも、1本歯を失って白い歯で自費でブリッジを入れようと思われている方には、インプラントをお勧めします。
3本分セラミックでかぶせ物を入れる費用と、1本インプラントを入れる費用はあまり変わらないからです。
費用に差がないのであれば、インプラント治療のほうが将来のことを考えると、断然優れていると確信しています。

入れ歯とインプラントを比較されている方には、まさに価値観の問題だと申し上げます。
高級外車に乗っておられても、歯には費用をかけたくないとおっしゃる方もおられます。私はその方の考え方も尊重いたします。

一方歯を失ったことで、食べにくいことは当然として、人前で笑えない、話すことが仕事なのにうまく出来なくなった、入れ歯を外すのが嫌で友人と旅行に行けない、食事のたびに自分だけメニューが違うなど、社会性が損なわれてしまうことも少なくありません。

失った歯を取り戻すだけではなく、歯があった時代の自分を取り戻すための費用だと考えて、御一考していただいてもよいかもしれません。

インプラントの費用

またインプラントと医療費控除のところに書いてありますが、納税されている方はインプラント治療にかかる費用を医療費控除することができます。税金が安くなる、あるいは税金が戻ってくることで、実質的な治療費を削減することが可能です。

手術が必要

インプラント治療は、インプラントをあごの骨に植えるという術式ですから、手術を避けることはできません。

→インプラントの安全性

歯を失うには失うだけの理由があります。
健康な歯を抜くことはないですから、抜く場合はその歯も含めて周りの歯ぐきや骨も傷害を受けている場合が多いです。

あるいは抜いた後、時間が経過し骨が細くなってしまって、そのままではインプラントを入れることができないことも多々あります。

すると一箇所に、骨を再生させる手術、インプラントを植え込む手術、歯ぐきの形態を整える手術、インプラント本体に頭の台を取り付ける手術など、何回もの手術が必要となることがあります。
その箇所が多ければ、一人の患者様に総計十数回の手術をすることもあります。
インプラント治療に携わる歯科医師としては常識です。
ところがどのホームページを見ても、簡単に手術が終わるようなことしか書いてありません。
同じことをするのに少しでも患者様の苦痛を軽減するために、最大限の努力はします。
それと同時に、必要な手術をせずに将来に問題を残すことは避けなければなりません。
治療のゴールをどこに設定するかを、一人一人の患者様と徹底的にディスカッションをして、必要な処置は十分に行うことが、将来にわたる安定のためには大切なことだと考えています。

治療期間が長い

骨折をしたらギプスをはめて3ヶ月以上固定します。骨折をする前は一本の骨だったわけですから、固定した後は骨折片どうしの間にはほとんど隙間はないはずです。それでもその隙間が骨の細胞で満たされ、仮骨化され成熟した骨になるには、3ヶ月以上必要なのです。

それを考えると歯を抜いた後の穴が骨で埋まるためには、非常に時間がかかることが想像できると思います。また上述のように同じ部位に何回かの手術が必要な場合は、そのたびに十分な治癒期間が必要になります。むし歯を削ってつめ物をするわけではないですから、細胞レベルでの治癒に時間が必要なことには、ご理解をいただきたいと思います。

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