同じ咬むという行為であっても、「よく咬む」「咬みしめる」ではそれぞれ与える影響が異なります。
歯の健康を保つためには、普段自分がどのような咬み方をしているのか見直す必要があるでしょう。

咬むことの良い影響

【虫歯・歯周病の予防】

よく咬むことで唾液がたくさん分泌されます。唾液には虫歯を作る酸を薄める働きがあるため、虫歯予防に繋がります。
また、よく咬むことで歯ぐきへのマッサージ効果が期待できるため、歯周病予防にもなるのです。

【脳の活性化・全身への好影響】

咬むという行為により頭部の骨や筋肉が動き、血液の循環が良くなります。そうすると脳神経が刺激され、脳の働きが活発になります。また咀嚼のリズムはセロトニン神経を刺激するとされています。セロトニンは心のバランスや精神を安定させる働きをもつホルモンです。セロトニンが増えると心がリラックスし、集中力が高まるのです。
歯がたくさん残っていてよく咬める人は、脳が活性化されやすく認知症になりにくいというデータがあります。また80歳で20本以上歯が残っている人はそうでない人に比べて全身の病気にかかる医療費が20%以上も低いというデータもあります。

【ダイエット・小顔効果】

よく咬むことで大量に分泌される唾液は、食べ物を糖に分解する働きがあります。糖分は血液に吸収され血糖値が上昇し、満腹中枢が刺激されるため少ない量でも満腹感を得られ、食べ過ぎるということがなくなります。
また、よく咬むということは、顔の筋肉を使っているということです。顔の筋肉の70%は口の周辺に存在しているため、よく咬むことで血行が良くなりむくみ改善になりますし、顔の筋肉を鍛えることでたるみ防止にもなります。

咬みしめすぎることの悪い影響

【歯周病のリスク】

咬み合わせが悪い状態で歯を強く咬みしめると、一部の歯に負担が偏りかねません。
負担がかかった歯は通常よりも大きくぐらつき、歯ぐきとの境目が広がり歯周ポケットが形成されます。
歯周ポケットにはプラークが溜まりやすいため、歯周病のリスクが大きくなってしまうのです。

【歯が早くすり減る】

永久歯は徐々にすり減っていくことが当たり前ですが、咬みしめ癖があるとより早くすり減ってしまいます。
歯がすり減ると咬み合わせが狂うこともあります。咬む位置が不安定になると顎にまで影響を及ぼし、顎関節症を発症する場合もあるのです。

【頭痛・肩こり】

歯を咬みしめることによって、こめかみから顎にかけての筋肉が目や耳の神経も圧迫してしまいます。
これが長期にわたってしまうと、頭痛や肩こりなどを引き起こしてしまうのです。他にも咬みしめ癖によって、耳鳴りや目の奥の痛み、動悸、息切れなどの不定愁訴が出ることがあります。

適切な咬み合わせで健康な歯を保とう

同じ咬むという行為であるにも拘らず、程度の違いによって良い影響もあれば悪い影響もあるということは知っていただけたでしょう。しかし、こういった咬みしめ癖などは無意識に行っていることが多く、気づいたら歯の痛みや顎関節症などの影響が出ていたという方も少なくありません。

咬み合わせというのは歯の健康に大きく関係しているため、いつまでも綺麗で健康な歯を維持するためにも咬み合わせを良くすることがとても大切なのです。また全身の健康のためにも適切な咬み合わせが必要です。

▲咬み合わせの治療のTOPへ